2008年10月10日

コードに魂を。振る舞いに愛を。

仕事で子供染みた焚き付けに見舞われた。
一年以上前からダラダラと赤を出し、それでもなお続けられていた案件。
自分が参画したときには、システムの事も、そのシステムを構築するプログラムの開発環境のこともよくわからないまま開発をする先駆者たちがいた。

半分いなくなって、補充されたけど。

自分はコードが読めた。幸か不幸か。
おかしいところがたくさん目に付いた。

直さないのか? 先駆者の力量は充分あると思っていた自分は聞いてみた。
おかしくは無い、いまある姿があるべき姿。
先駆者のリーダはそういった。

アレしてコレすると落ちてしまうのも? ここの実行速度について改善要望が来てるのも?

開発は進み、客先での仮運用が始まった。
不具合報告に混じって仕様変更の要望と思われる指摘が飛んでくる。
リーダは「対応する」と言った。
裏側から透かしても仕様変更と思われる文面を指差し、本当にやるのか? と聞いた。

「言われた事は全部やる。バグとか変更とか関係ない」

誰も戦う気がない。いい物を作ろうという思いが微塵も無い、それがこのチームだった。
このほかにも、提案と却下の繰り返しを何度かした。
「なんでそんな難しい事をするのか」と言った顔で嫌がられることが続いたので提案も止めた。こっちが疲れてしまう。

さて、冒頭に書いた「炊き付け」の件。
長い間放置しておいたプロジェクトにエンドユーザからクレームが付いた。
また納期を破るつもりか? これまで当然のようにスケジュールに収まらない仕事をしてきたチームに業を煮やした結果だ。
それに驚いたえらい人が自分を呼びつけて言った。

「外注の君には、今月中に今から言う機能の回収を完成させて、引き上げてもらう。これぐらいのボリューム、できるはずだ」

できなくは無いのだろうが、突然の事で驚いた。
引き上げの話は営業から聞かされていたが、最後にこんなことが待っている事は予想できなかった。

「見事にやってくれたなら、君はヒーローとして去ることができる」
できなかったら、対価に見合わない仕事しかできなかったと判断する。要するに給料泥棒呼ばわりだ。
技術者のプライドに揺さぶりをかけられているような気分。いい気分ではない。

先の提案と却下のやり取りで疲れていたところに引き上げの辞令。
その上に「君ならできる」なんて持ち上げと揺さぶり。

苛立ちはあるし、プライドもある。
期待通りヒーローになる事を目指して仕事はするだろう。
結果は保証できないけど。

だけど、これは最悪の仕事だと思う。

とある人の言葉を借りるけれど、この案件のコードには魂がない。
物を作るものとして、解せない部分と戦う姿勢がない。
人が使うプログラム。アプリケーションを作る事が好きであるなら、そのアプリケーションの振る舞いの取り決めに愛をこめて向き合うべきだ。

顧客の要望が最終的に正しいものであるかも知れない。
しかし、その結論を出すまでの磨き上げを放棄してはいけない。
顧客の決めた仕様にも荒削りな魂があるかもしれない。
磨き上げて、共にいいものを作るべきだ。

この仕事が終わったときに、「なんだこの暑苦しいエントリ」と笑って読み返せる事を願って。

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